「まずAIに聞いてから相談しよう」
最近、そんなお客様が増えてきました。
ChatGPTなどのAIに「Webサイトのリニューアルに必要な機能」を聞き、その回答をもとにびっしりと項目を詰め込んだ見積依頼書(RFP)を作って、私たちのような制作会社に問い合わせてくださる。
これはおそらくWeb業界だけの話ではありません。
聞くところによると、看板屋さんや建設業界でも同じようなことが起きているそうです。
お客様がAIに書かせた完成度の高い依頼文と、生成AIで作った“完成予想図”を持って相談に来る。

デザイナーや職人、現場の担当者が実際に現場や素材を見る前に、すでに「答え」らしきものが先に出来上がっている。
これは業種を問わず起きている、AI時代ならではの現象ではないでしょうか。
一見、とても準備の良いお客様に見えます。
実際、事前に情報収集をしてから相談してくださるのはありがたいことです。
ですが、正直に言うとこの「AIで頭でっかちになった見積依頼」
依頼主側が損をしているケースも少なくありません。
かばの中の人今日はWeb制作の現場を例に、その理由と、本当に得をする相談の仕方についてお話しします。
【結論】AIに聞くと「理想形」しか返ってこないから高くなる


結論から先に言うと、AIは「あなたに本当に必要なもの」だけではなく、それらしい機能を幅広く提案してきます。その提案をすべて取り入れようとしてしまうことが、見積もりが高くなる理由です。
AIに「Webサイト運営で必要な機能は?」と聞くと、CMS導入、SEO対策、多言語対応、会員機能、チャットボット、アクセス解析ダッシュボード、A/Bテスト環境……と、あらゆる業種・あらゆる規模の企業に共通する“一般解”がずらりと並びます。
これは間違った情報ではありません。
ただし、それは「フルスペックの理想形」であって、あなたの会社に必要なものとは限らないのです。
AIは、あなたの会社の
- 業種や商習慣
- 顧客層や成約までの導線
- 社内の運用体制(更新作業を誰がどれくらいの頻度でできるか)
- 本当の経営課題
を知りません。
知らないまま「一般的に良いとされる項目」を並べているだけ。
たとえば、月に数件しか問い合わせが来ない専門商材のBtoB企業に、ECサイト並みのアクセス解析基盤や会員ランク機能は基本的に不要です。
逆に、地域密着の店舗ビジネスなら、多言語対応より先にGoogleビジネスプロフィールとの連携や電話導線の方がよほど重要だったりします。
「業種による」「規模による」「体制による」という前提が抜け落ちたまま、機能だけが並んでしまうのが、AIリサーチの見積依頼で最も起きやすい問題であり、見積もりが高くなってします一番の原因です。
詰め込みすぎた見積依頼書が招く3つの損


準備を尽くす姿勢はとても大切です。
しかし「情報は多ければ多いほど良い」という思い込みは、実はプロジェクトの足を引っ張る落とし穴になりがちです。
項目を詰め込みすぎた見積依頼書は、かえって見積額や要件定義、スケジュールにまで悪影響を及ぼすことがあります。
ここでは、詰め込みすぎた見積依頼書によって実際に起こりやすい3つの「損」について解説します。
見積額が本来より膨らむ
項目が多ければ、当然、見積額も上がります。
不要な機能を「念のため入れてください」と言われれば、私たちはプロとして正直に見積もらざるを得ません。
結果として、実際の予算感やビジネスの規模に見合わない金額が提示され、「思ったより高い」というミスマッチが起きます。
本当に大事な要件が埋もれる
理想を詰め込んだ長いリストの中には、業種特有の“本当に大事な1つ”が紛れ込んでいることがあります。
しかし項目が多すぎると、制作会社側も、そしてお客様自身も、どれが優先度の高い要件なのか見えにくくなります。
「全部大事」は、実質「何が大事かわからない」のと同じです。
すり合わせに余計な時間がかかる
不要な項目を一つひとつ「これは今回は外しましょう」「これは御社の場合、優先度が低いです」と説明し、削っていく作業が発生します。
これは制作会社にとっても、お客様にとっても、本来不要だった工数です。
せっかく早く動きたくて事前準備をしたのに、結果的にプロジェクトのスタートが遅くなる、という本末転倒が起きがちです
「AIリサーチが悪い」わけではない
誤解しないでいただきたいのですが、AIで事前に調べること自体は良いことです。
問題は、AIの回答を「そのまま要件定義として提出してしまう」ことにあります。
AIは知識を広げてくれる優秀な壁打ち相手ですが、「あなたのビジネスにとって何が本当に必要か」を判断する材料としては、業種・規模・体制といった個別事情が反映されていません。
その最終的な取捨選択こそが、プロである制作会社の腕の見せどころです。
では、どう相談するのが正解か


おすすめは、機能リストを完成させてから来るのではなく、もっと早い段階で相談していただくことです。
具体的には、以下のような情報を持ってきていただくだけで十分です。
- 今のサイトの何に困っているか(問い合わせが少ない、更新が大変、古く見える、など)
- ビジネスとしてサイトに何を達成してほしいか(売上、採用、ブランディング、問い合わせ数)
- 大まかな予算感とスケジュール
- 社内の運用体制(更新担当者がいるか、いないか)
これだけあれば、私たちの方で「御社の場合、この機能は必要ですが、これは優先度を下げて良さそうです」という業種・規模に応じた取捨選択をご提案できます。
AIが出してきた“理想の全部盛りリスト”を、現実的で費用対効果の高いプランに翻訳するのが、私たちの仕事です。
もちろん、AIで調べた内容や気になった項目のリストをそのまま見せていただいても構いません。
それを「叩き台」として一緒に絞り込んでいく分には、むしろ有効な材料になります。
問題は、それを検証なしに“完成した要件”として固めてしまうことなのです。
【まとめ】AIをうまく使ってビジネスの課題を解決しましょう
- AIは業種や規模を考慮しない“理想形の一般解”を返してくる
- それをそのまま見積依頼にすると、金額が膨らみ、大事な要件が埋もれ、すり合わせに時間がかかる
- AIリサーチは悪くない。ただし「叩き台」として使い、早めにプロに相談するのが結果的に一番安く、早い
Webサイトは「機能を積む」ものではなく、「ビジネスの課題を解決する」ためのものです。
頭でっかちな見積依頼書を作り込む前に、ぜひ一度、気軽にご相談ください。
あなたの会社に本当に必要なものだけを、一緒に見極めます。

